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台風18号が再発達し、北海道で暴風による被害拡大 2004年9月

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 2004年9月8日、台風18号(SONGDA)が北海道の西岸を北上していきました。北海道は台風の進路の東側に入り、速度を上げてきた台風そのものの大気の動きも重なって猛烈な風に襲われました。これはかつて青函連絡船の洞爺丸をはじめ、多くの連絡線を沈没させた昭和28年の「洞爺丸台風」と似たような進路だったそうです。

台風18号の進路と特徴

猛烈な速度で北上

 8月末に日本のはるか南東で発生した台風は、約10日間かけて勢力を強めながら九州北部をかすめるようにして北海道に近づいてきます。その間、どこにも上陸せず、小さな島もうまくかわすようにして進んできました。日本海に出て急激に速度を上げてきた台風は、時速70km以上というかなりの速さで北上してきました。7日深夜に見たニュースでは、すでに秋田県沖にありました。時速70kmですし、中心気圧も970ヘクトパスカルと3時間おきのデータで5ヘクトパスカルずつ衰えていました。北海道に来る台風といえば、近づく頃には勢力がかなり衰えるのが一般的です。この台風もこのままのペースで行けば翌朝にはオホーツク海に抜け温帯低気圧に、いつもと変わらない朝を迎えるだろう。そう思っていました。ところが…。

平成16年台風18号経路図

台風18号の進路と強風・暴風警戒域(出典:国際気象海洋)

北海道沖で急減速、そして…

 しかし、朝起きてニュースを見ると台風まだ渡島半島の西にいました。すっかり通過しているものと思っていただけにかなり驚きました。外を見るとほぼ快晴の良い天気です。やっぱり台風が来ると言っても大したことはなかったね、いつも通り出勤だ。ところが…、朝起きた段階ではそれほどでもなかった風が、午前8時ごろから急激に強まりました。

 ちょうど通勤ラッシュの時間帯に重なったこともあり、交通機関の乱れによる影響が大きくなってしまいました。北海道内すべてのJRがストップ。雲ひとつない快晴のお天気なのに風だけでこんなに影響が大きくなるなんて驚きです。今回の台風の場合、北海道・雄武の51.5m/sや札幌の50.2m/sなど、かつて経験したことの無い強風が各地を襲いました。札幌の観光名所のひとつでもある北大のポプラ並木が倒れ、道内各地で農業への被害や林業被害・建物損壊などの被害も巨大な規模に達しました。

 私は、この台風の中「オロオロ」するしかなく、物置も飛ばされるのではないかと、ヒヤヒヤしました。しかし、なぜこのようなことが起こったのでしょうか。北海道に来る台風なんていつもヘニャへニャになっていて温帯低気圧にかわるものだと思っていました。そこには、多くの人が勘違いしているある誤解が関係しているのです。

台風から温帯低気圧になったのになぜ再発達?

 今回の台風は、石狩湾付近に達した時に急激に再発達して北海道全体が暴風域に覆われたのである。北海道全体が天気予報で見るあの赤い丸い円の中にスッポリと入ったのである。こんなものは今まで見たことがありませんでした。ではなぜそれは起こったのか?

温帯低気圧は気温差がエネルギー

 台風は南海上の高い海水温がエネルギー源なので、北上ともにそのエネルギーを使い、上陸すると一気にしぼむのが特徴です。一方の温帯低気圧は、温かい空気と冷たい空気の差がエネルギーになります。そのため、温かい空気の塊である台風と寒気が出会えば前線が発達し、低気圧として急激に発達する可能性があるのです。よく、中国方面にそれた台風が温帯低気圧となって北海道に嵐を巻き起こすことがあります。今回は、台風のまま石狩湾付近まで来て急発達した珍しいパターンでした。

台風が「弱まって」温帯低気圧ではない

 そして、一番まずいことは、多くの北海道民の中に「勢力が衰えて温帯低気圧に変わる」というイメージです。これは報道の仕方にも問題があるといつも思います。

「台風は明日朝には温帯低気圧に変わるでしょう」

このフレーズ、聞いたことありませんか。それどころか、「暴風域はなくなり」という言葉が先に付く場合もあります。どうしても、勢力が衰えて暴風域もなくなり、温帯低気圧に変わるという流れが「温帯低気圧は大したことない」という誤解を生んでいるようです。

 でも、実際には「台風並みに発達した低気圧」「爆弾低気圧」「台風のような暴風」を伴う低気圧もたくさんあるのです。北上すれば冷たい空気と混ざるのは当たり前で構造上「台風」ではいられなくなるのです。温帯低気圧として勢力が強まり、台風に匹敵するかそれ以上の強さになりながらも、名称が「台風」じゃなくなったとたんに強風・暴風の円が消え、ニュースでの扱いも小さくなることにいつも違和感を覚えます。

記憶に残る被害をもたらした「台風18号」

 この日は道内各地で小中学校が臨時休校になりました。プールや体育館の屋根が剥がれたり、修学旅行先で大変な目にあったりと、「あの時はね…」と語り継がれるような被害が発生しました。当時、消防団も地域の見回りをしたそうです。私も、風が収まってから、自宅のある江別から、叔母の住む美唄、大学のある旭川へと様子を見に行ってきました。

「江別」の様子

 まずは自宅周辺です。暴風の中自宅の物置が今にも飛びそうな状態になっていたので、古タイヤを詰めたりブロックを置いたりして凌ぎました。台風通過後はこんなにズレータ状態で。危なかったです。

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 さらに、近所を散歩すると街路樹が倒れていました。ナナカマドの実も散っています。すごい!テレビで見ていた台風と同じだ!本物の台風だ!

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「美唄」の様子

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 美唄で一人暮らしをする叔母を訪ねました。その途中、光珠内の専修大学の演習林で倒木を撮影。大きな木が根こそぎ倒れている。根こそぎってこういうことなんですね。また、元炭鉱住宅のトタン屋根が舞い上がり剥がれています。

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「旭川」の様子

 翌日は旭川へ。教育大学構内の木々もバキバキ折れています。教育科学棟横のゴミ入れ用物置が風で飛んでいました。夏休み期間中でゴミも入っていなかったから軽かったんでしょう。近場で落っこちてくれてよかった。もっと飛んでいたら危険でした。

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 学生駐車場の大木も倒れていました。駐車場に止めてあった学生の車に直撃し、ペシャンコになっていました。かわいそうですね。保険とか出るのかな?

まとめ

 近年、爆発的に発達した「低気圧」による被害が毎年のように発生しています。台風かどうかが問題ではなく、どれくらいの雨や風になるのかに注意して警戒することが大切ではないでしょうか。

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